back number / 僕は君の事が好きだけど君は僕を別に好きじゃないみたい

この主人公とサシ飲みしながら失恋話を聞く女友達になりたい。

 

back number「僕は君の事が好きだけど君は僕を別に好きじゃないみたい」

 

まずこのタイトルが凄くないですか。

もうこれ言われたらぐうの音も出ない。

というか、これでこの話終わってしまうのでは。

 

そんな絶望感を抱きつつも、まあとりあえず曲が始まるわけです。

 

僕の世界は君を中心に回っていると言っても過言じゃない

これから生み出す全てを捧げても構わない

いきなりこんな勇み足のフレーズ。

このまま両思いカップルの話に突入するのが世の中のキラキラ恋愛ソングなのでしょうけど、そこを180度転回させてヘタレ失恋ソングに持ち込むのが、back number清水依与吏さんの真骨頂だと思うのです。

こんな気恥ずかしいことを真顔で言ってのけたかと思いきや、次のフレーズで自虐的に茶化しにかかる。

 

これにはあのクレオパトラでさえも ご納得いただけるクオリティの

 ご提供となるはずだったのにな

いらないって言われりゃそれまで

 クレオパトラもご納得だったのにね。"君"にはご納得いただけなかったのね。

この真顔と自虐のアップダウンが秀逸。

 

そして話は本題へ。

 

僕は君の事が好きだけど

君は僕を別に好きじゃないみたい

答えがあまりにシンプルすぎて

もうね 何も言えないね

ぐうの音も出ないってこの事だね

あまりにシンプルであまりに情けない結論。

「君の事が好きなのに」じゃなくて「好きだけど」というこちら側の控えめな態度とか、「君は僕を別に好きじゃない」の「別に」に現れる相手側の無関心感とか、細かい言葉選びが絶妙ですね。

 

「嫌い」じゃなくて「別に好きじゃない」って、それはぐうの音も出ませんね。

それをこんなあっけらかんとしたメロディで軽々と歌うのがかえって切ない。

 

もし自分が彼の失恋話をサシ飲みしながら聞いている女友達だったら、「もうそんな子やめて私にしなよ」って言ってしまいそう。ハイボール飲みながら。 

 

でも気が済むまで好きでいるけど

あんまり気にしないで

そしてとどめはこのワンフレーズ。

明るい曲調なので未練がましい感じにはならず、「気が済むまで好きでいる」という突然のオレ様感がちょっとドキッとさせる。

でも最後にちゃんと「あんまり気にしないで」というヘタレ感を添えるのを忘れないところがさすが。ちょっと低めの音階でキレよく刻まれるメロディラインがキマってるのに、言っていることはあくまでも低姿勢というバランスが秀逸ですね。

 

続く2メロもしみじみいい。

誰より大事にしたいと思う

僕じゃなんでダメなんだろうな

あなた本当マジメで優しくていい男だよ。なんであの子にはうまく伝わらないんだろうね。そう言いながら彼のグラスにビールを注ぐ女友達(=私)。密かに彼に恋心を抱いている女友達(=私)。

 

僕は君の事が好きだけど

君は僕を別に好きじゃないみたい

彼氏がいるわけじゃないみたいだし

そうか好みじゃないのね

絶望って言葉がぴったりだね

 

せめて彼氏がいるからとか好きな人がいるからとか、言ってほしかったよね。なぐさめつつ、また彼のグラスにビールを注ぐ女友達(=私)。

 

押してもダメなら引いてみようかな

いやきっと気付かれもしない 

この冷静な一人ツッコミも切ない。

そろそろ私の密かな思いにも気付いてくれないかな。

 

もうやけくそだって バカなふりして

来週また言ってみようかな

毎週言ってみようかな 

ここで急に男らしさをのぞかせる主人公。

こんなふうに毎週好きだって言われ続けたりしたら、その一途さに相手もそのうちほだされてしまいそうじゃないですか。

主人公に密かに思いを寄せる女友達(=私)は、それストーカーっぽいからやめなよなんて冗談めかせてなだめながら、内心ハラハラしている。

 

 

 

この女友達の視点で一曲書けそうですね。

 

▼粉ミルクさんによるカバー

youtu.be

 

back number / ハッピーエンド

この曲のサビのメロディがいつも思い出せない。

 

back number「ハッピーエンド」

福士蒼汰さん・小松菜奈さん主演の映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の主題歌にもなった曲です。

なのでCMとかでしょっちゅう聴いていて、歌詞もはっきりと覚えているのに、どういうわけかいつもサビのメロディが全然思い出せない。

 

青いまま 枯れていく

あなたを好きなままで消えていく

たぶんこのフレーズの、息切れするみたいなメロディラインがあまりにも切迫していて、よくあるキャッチーな失恋ソングと全然違うからじゃないかと思うのです。

普通失恋ソングって、切ない思いを滔々と語るみたいな感じになるじゃないですか。アップテンポな曲じゃなくてしっとりしたバラードだから、ワンフレーズワンフレーズがたっぷり長くなりがち。

そこへ来てこの曲は、"青いまま""枯れていく"と細かくブレスを入れながら、畳み掛けるようなピッチの上がり方をする。これがしゃくり上げるみたいな何とも苦しそうな息づかいに感じられるわけです。こんな失恋バラードあんまり聴いたことない。

 

 そもそもの出だしが凄い。

さよならが喉の奥につっかえてしまって

咳をするみたいにありがとうって言ったの

このたったワンフレーズで、いきなりぐわっとこのシーンに向き合わされてしまう。

たぶん喧嘩別れとかじゃなくて、わりと長く付き合っていた2人が、じわじわと少しずつ、でも致命的に不可逆的に、冷めていってしまったんだろうなぁ。

だから妙に落ち着いた別れ話のシーンになっていて、それがかえって絶望感を深くする。

 

こんなとき思い出すことじゃないとは思うんだけど

一人にしないよって あれ実は嬉しかったよ

こんなときだからこそさ、彼がとびきり優しかったときのこととか思い出しちゃうんだよね。わかるよ。長く一緒にいたぶん、スイートな思い出もあふれ出てきちゃうくらいいっぱいあるよね。

 

あなたが勇気を出して初めて電話をくれた

あの夜の私と何が違うんだろう

お互い何も変わらないはずなのにね。大好きだったのにね。なんでこうなっちゃったんだろうね。

 

青いまま 枯れていく

あなたを好きなままで消えていく

私をずっと覚えていて

・・・なんてね 嘘だよ 元気でいてね

もうこんなん泣くわ。

"私をずっと覚えていて"って、たぶん心の中でだけ言って口には出せなかったんだろうなぁ。

 

泣かない私に少しほっとした顔のあなた

相変わらずのんきね

そこも大好きよ

このあたりで、こちらの感情は徐々に相手の男への怒りに変わる。

どれだけ健気な良い子を振ろうとしてるのか、あなたわかってるんでしょうね?

ほっとしてる場合じゃないのよ、ねえ。

 

青いまま 枯れていく

あなたを好きなままで消えていく

私みたいと手に取って

奥にあった思いと一緒に握り潰したの

大丈夫 大丈夫 

"握り潰したの"という1音1音を置きにいくようなリズム運びも、"大丈夫 大丈夫"の絞り出すようなメロディ進行も、とにかくとにかく切ない。

 

そして最後は"さよなら"というフレーズを残して、ふっと曲が止まる。

うーん、切ない。

 

・・・・・・

 

・・・・・・えっ、まさか、飛び降りたりしないよね?

 

"あなたを好きなままで消えていく"

 

"握り潰したの"

 

"大丈夫 大丈夫"

 

・・・・・・

 

そしてタイトルは「ハッピーエンド」。

 

・・・・・・

 

・・・・・・この曲怖すぎるんですけど。

 

youtu.be

▲粉ミルクさんによるカバー。ちょっと怖さを軽減してくれる。

back number / 君の恋人になったら

もうこの曲について書きたくてブログを始めたと言っても過言ではない。

 

back number「君の恋人になったら」

"もし僕が君の恋人になれたときは〜"という妄想から始まるこの曲、"僕"の"君"に対するくすぐったいくらい一途な恋心とちょっと間の抜けた愛情表現が、キャッチーなメロディで綴られていく。

これをイケメンアイドルグループが歌っていたら個人的には全くそそられないのだけど、青年とおじさんのちょうど中間くらいの、ややむさくるしいボーカル清水依与吏さん(32)が一生懸命な感じで歌うもんだからたまらないのです。

 

でも待てよ よく考えりゃそれって

君の頭とか肩とかに触ってもいんでしょ

 あぁそれは何とも あああ 

まずこのBメロが凄い。

"恋人になれたら君の頭とか肩とかに触れる"って、こんな純情な30代男性いますか。

頭ポンポンとか肩グイとか、少女漫画に出てきそうな胸キュンシーンを連想させる言葉選びが絶妙。もっと他にいろいろあるでしょって思いながら、"あぁそれは何とも""あああ"という言葉にならない身もだえに、こちらもつられて身もだえしてしまう。

ここのメロディラインも秀逸で、"いんでしょ"と"何とも"で裏声になるあたり、計算され尽くしている。"いいんでしょ"じゃなく"いんでしょ"、これもうまいなぁ。

 

もしも君が眠れなくて寂しいときには

思い付くだけの愛の言葉をお届けしよう

うざったくて笑っちゃうくらい

アイラビュー アイラビュー

 続くサビの"アイラビュー"。"愛してる"でも"I love you"でもなく、ちょっと鬱陶しい感じの字面がいいですね。

依与吏さんが「俺は英語の歌は歌わねえ」と言ってましたが、その言葉通り日本語を貫いているところが素敵。

メロディも、1つめの"アイラビュー"でピッチが上がってぶわっと盛り上がるかと思いきや、2つめでちょっと恥ずかしくなって失速する感じがすごくいい。この間の抜け方が愛おしくなっちゃうんです。

 

それで君は眠くなって

うるさいもう寝ようって言われたいぜ

 急にここで男らしさをのぞかせる"言われたいぜ"という言葉遣い、ドキドキさせるなぁもう。

 

続く2Aでまた可愛いおじさんに戻る依与吏さん(32)。

もし僕が君の恋人になれたときは(中略)

全体的に君を楽しませつつも

僕が幸せになることでしょう 

あなたが幸せになるのね。まぁそれはそれでいっか。

ほのかに漂うヒモ臭を感じつつ、"僕が君を幸せにする"とかサムいこと言わないあたりいいなぁと思ってしまう。

 

でも待てよ よく考えりゃそれって

君の心とか部屋とかに入ってもいんでしょ

あぁそれは何とも あああ

ここに来て"部屋に入っていい"という若干の下心をのぞかせながらも、そんなこと想像しただけで赤面しちゃうと言わんばかりの純情ぶりを見せつける。こんな純情な30代男性いますか。(2回目)

 

そして極めつけはこのラスサビ。

うざったくて笑っちゃうくらい

アイラビュー アイラビュー

君もいつかつられちゃって

私幸せだよって言われたいぜ

ついつい"私幸せ"って言っちゃって、やにさがる依与吏さん(32)の顔が浮かぶようですね。 もう私たちこのまま結婚するんじゃないかな。

 

こんな素敵なラブストーリーとハッピーエンドを見届けて、あたたかい気持ちに満たされながら再生終了すると、ふと目に入るタイトルは「君の恋人になったら」。

そうだこれ全部この人の妄想の話なんだった。

最後にちょっとぞわっとするところも含めて、何とも味わい深い名曲だと思うのでした。

youtu.be

▲粉ミルクさんによるカバー。この演奏も素晴らしい。